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2018.10.29

皮膚科の未来

こんにちは、院長の栗木安弘です。

土曜日はクリニックを休診にして大阪で開催された皮膚科学会に参加してきました。日々の診療に役立つ内容もありましたが、
一方で毎年同じようなことの繰り返しという印象もありました。
具体的には、
 保湿の必要性
 既存薬のアドヒアランス
 漢方薬
 新薬の効果、使い方
 研究論文の紹介
というような薬剤や研究内容が中心でした。こうした内容を皮膚科医は何の疑問を持たずに毎年学会で学び、診療や研究に応用するわけですが、
果たしてこれで、
 患者さんは満足されている?
 病気は根治している?
 発症率や医療費は減っているのでしょうか?
研究や発表のご苦労は理解できますが、皮膚科に限らず医学会というのは少し着目している点が違うような気がしてなりません。学会会場では皮膚科の偉いさんは意気揚々とされていましたが、個人的には皮膚科の未来は暗いなぁと感じました。

2018.10.10

アドヒアランス

こんにちは、院長の栗木安弘です。

先週土曜日は神戸でアトピー性皮膚炎の講演会がありました。
講演会では外用剤のアドヒアランスということが取り上げられていましたが、アドヒアランスというのは、患者さんが積極的に治療方針に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味します。
つまり患者さんも病気を治すために、
頑張って治療を続けなければないということです。
皮膚科医としては「ぬらないとアトピーがよくならないという」発想の元、できるだけぬっていただける指導や工夫が皮膚科医には必要であることを講演会で強調されていました。
これを聴いて私自身は少し違和感を感じました。

ぬらないとアトピーはよくならない、治らない。
という発想はほとんどの皮膚科医がもっていますが、栄養療法を理解すれば、皮膚の炎症や保湿は、食事の見直しや栄養補給を続けるだけでも改善することはよくあります。
またアドヒアランスに関しても、日々のぬり薬や保湿を強調されますが、ぬるために生活しているのではありませんし、ぬれば治るというものではありません。(ぬる前にもっと必要なことがある)

患者さんの希望は、まずかゆみの軽減、病気を治したい、薬は使いたくない、治療は副作用がないという思いですが、
皮膚科医は薬でうまくコントロールして付き合って行くという対症療法がメインとなり、治療目標に乖離があるようです。やはりその溝を埋めるのは栄養療法しかないかと日々の診療で実感しています。

2018.09.26

継続は力なり

こんにちは、院長の栗木安弘です。

この言葉ほど、皮膚科における栄養療法にふさわしい言葉はありません。

皮膚は、何かをつければすぐによくなるイメージを多くの方がお持ちです。
しかし皮膚の代謝を考えれば、皮膚が入れ替わるまでには、1〜2ヶ月はかかります。
自身の経験から、虫刺されは最初は赤くかゆみがありますが、
その後の色素沈着が消えるまでは約1ヶ月ほどかかりました。
ニキビや手術の傷跡なども数カ月は赤味が続き、落ち着くまでは半年〜数年はかかります。

目には見えませんが、皮膚はゆっくりと入れ替わり(新陳代謝)をすることで作り変えられます。しかし皮膚を作るための材料(栄養)が少ないと修復はさらに遅くなります。

かゆみや痛みなどの症状を薬で抑えながら、栄養療法でゆっくり修復させることで、
「いつの間にかかゆみや発疹が無くなっていた」
「今年は症状は出ない」
「薬の必要がなくなった」
「もう気にならない」
など、病気というものに翻弄されず、気づいたら病気が去っていたというのが理想的な治り方です。
皮膚科での栄養療法は、食事内容やサプリメント摂取量の問題で治りにくい方もおられますが、少なくとも半年〜1年は継続することが大事です。

2018.02.08

しもやけと栄養

こんにちは、院長の栗木安弘です。

この時期はしもやけの患者さんがよく来られます。

 しもやけは気温4~5℃、日内気温差が10℃以上になると発症しやすく、通常晩秋から冬に発症します。家族内発症が多いことから遺伝的素因も関与しますが、寒冷暴露による血流低下とその回復能力低下が直接の発症原因と考えられています。つまり寒い時期の急激な温度変化に血管がうまく適応できず局所の血行障害が生じるためにおこります。
特に子供はこの温度差による血管の適応能力が未熟なためによく起こります。

 栄養学的には虚血~再灌流と言って温度差による血管の急激な収縮・拡張が活性酸素を発生し炎症を起こすことが原因とされ、活性酸素の除去の代表であるビタミンEがよく勧められます。また鉄不足の方も冷え性やしもやけが起こりやすくなります。

 治療は保温とビタミンEや漢方薬や血管拡張剤(保険適応外)の内服、ヘパリン類似物資の外用やかゆみや炎症が強い場合にはステロイド外用とされています。しかしビタミンEは保険薬は合成であるため効果は期待できず、子供に関しては漢方薬や血管拡張剤は飲めないため、結局は表面だけの対応となります。しもやけの発症機序から考えれば本来は栄養アプローチが有効だと思われます。

2017.11.17

カサカサ対策

こんにちは、院長の栗木安弘です。
たまには皮膚科のことも書かなければなりません。
毎年この時期から、皮膚の乾燥を訴える患者さんがちらほら受診されるようになります。
一応最近、マスコミ等で賑わせているヒルドイドを処方しますが、
栄養療法実践皮膚科医としては、皮膚のうるおいに必要な食事や栄養の話に加え、
できるだけ顔や体を洗いすぎないように指導をおこなっています。

具体的には、
①合成洗剤はほとんど使わない。
 使っても純石鹸で脇、陰部、耳の後ろなど臭う部位だけ使用する。当然ゴシゴシしない。
②リラックス効果はありますが、熱いお風呂や長風呂は毎日は控える。
③シャワーの水圧を避ける。(意外と多い)
④衣類に残った洗濯用合成洗剤や柔軟剤なども乾燥を生じます。
などに注意していただきます。
スーパー銭湯や温泉に行き、湯船に浸かりながら洗い場を見ていますと、泡まみれでゴシゴシの方ばかりです。
 
世間一般に体の汚れを落とし、保湿をするのがいいように言われていますが、
洗う→乾燥かゆみ→予防のためにぬる→洗う→乾燥かゆみ→ぬる→…
の繰り返しで、スキンケア関連会社は儲かりますが、永久にこれが続きます。
しっかり洗って、保湿すると気持ちがいいという方は一向に構いませんが、
乾燥がひどい、ぬるのが肌に合わない、保湿がベタベタする、外用が面倒という方はシンプルに洗浄剤は使わない・洗わない・シャワーなしという選択肢も考えていただければいいかと思います。

 

2017.10.31

ヒルドイドの問題

こんにちは、院長の栗木安弘です。
ヒルドイドの美容目的での乱用が最近ニュースとして取り上げられています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171030-00000049-san-hlth
美容雑誌での評判記事やSNS・インターネットの口コミをみて、
美容液や保湿クリームの代わりにヒルドイドを希望される患者さん多くが受診し、
保険診療で処方されるケースが相次いでいます。

処方する皮膚科医にも責任の一端があるかもしれませんが、
個人的には、保湿を推奨してきた皮膚科全体の責任は大きいかと思われます。
乾燥肌、アトピー、ニキビ、フケ、かゆみや食物アレルギーの予防で、保湿の重要性を強調し、治療の一環として皮膚科全体で決められておれば、
「保湿をすればかゆみがましになる」
「食物アレルギ-やアトピー予防で」
「乾燥を防ぎたい」
と患者さんから言われれば、当然皮膚科医は断る理由がありません。
一応クリニックではこうした患者さんには、処方制限や、あくまで薬ということ強調し、必要であれば使用し、よくなれば中止するように指示しております。
乱用により、医療費の圧迫もさることながら、私自身もっとも懸念していることは、ヒルドイドをはじめぬり薬を長期ぬることによる軽皮感作(アレルギー獲得)です。
長期間皮膚に塗布するということは、ヒルドイドをはじめさまざまなぬり薬に含まれている薬物、添加物、界面活性剤、保存料にアレルギー反応を起こす可能性もあります。
こうしたケースが今後増えれば、他の薬や化粧品やクリーム、食品などにもアレルギーを生じる可能性も出てきます。

やはりぬり薬はほどほどにし、いつも言っているように、本来の皮膚の代謝である内面からの保湿や治療(栄養)アプローチを皮膚科医をはじめ多くの方が理解して実践すべきであると思われます。

 

2017.09.26

皮膚が弱い

こんにちは、院長の栗木安弘です。

かぶれ、手荒れ、金属アレルギー、アトピー、乾燥、かゆみ・湿疹、各感染症、
などすべての皮膚トラブルは、おおざっぱに言えば、皮膚が弱くなることが原因です。
皮膚が弱いと本来の機能である皮膚バリア機能や免疫機能が低下します。
ですから皮膚本来の機能を取り戻し、皮膚を強くすることが重要ですが、
皮膚が弱いということなどは科学的に証明することは不可能で、
多くの場合、皮膚強くするという対策ではなく、外から加わる刺激やアレルゲンばかりを追究・除去、そして皮膚表面に何かをぬって守ろうという発想しか皮膚科医にはありません。

皮膚の本来の機能を取り戻し、皮膚を強くするためには、
栄養療法の創始者であるライナス・ポーリングが提唱したような、至適量の栄養補給をしなければなりません。
至適量とは、各組織や臓器が本来の機能や治癒力を発揮する栄養量であり、通常は食事や体内で生合成される栄養量では不十分であると言われています。
ポーリングは精神疾患における脳内の至適量について主張しましたが、
私自身は皮膚も同様だと確信して、サプリメント補給による栄養療法をおすすめしますが、「皮膚はぬり薬」というイメージや、栄養が皮膚に至る経路(胃腸、肝臓、貧血)に問題ある場合も多々あり、皮膚を根本的に治すには時間も費用もかかります。 

診療ではサプリメントばかりすすめていることが多いかもしれませんが、
保険適応の薬(ぬり薬)は対症療法ばかりです。
皮膚科医として、ぬり方をはじめ皮膚科薬の使い方・工夫、美容処置なども必要ですが、やはり健康で美しい皮膚や体を取り戻すためには、まず栄養療法が必要なアプローチだと確信しています。

2017.09.07

2分診療

こんにちは、院長の栗木安弘です。

アトピー性皮膚炎患者の約30%が、平均2分以下の診察時間であるという報告があります。
http://newswitch.jp/p/9828
診察時間が短いのが悪いというのではありませんが、
これでは納得いく診察は難しいかもしません。
医療の基本が診断→治療ですので、
治らないアトピー性皮膚炎と一旦診断されれば、お決まりのような治療が永遠と続きます。
まぁ長年のアトピー性皮膚炎の患者さんは、
最初から皮膚科医には治せる期待は抱かず薬だけもらえればいいという患者さんも少なくありませんし、 皮膚科医もガイドラインで決められたステロイド外用剤を処方すれば診察時間も短くすんで、その他多くの患者さんの診察もできます。
皮膚科の診療単価が他の科と比べて低いので、時間をかけ、じっくり診て、きちんと説明する本来の診療スタイルが、逆に経営面に首を絞めるという自体にもなっています。

アトピーという診断も適切な外用指導も必要ですが、皮膚の変化は目に見えます。
アトピーという病名の原因は分からなくても、なぜその変化が生じているかを皮膚科医は考えて、きちんと説明しなければいけません。

 

2017.06.27

皮膚科の“診る”ということ

こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚を診るというのは皮膚科医の基本です。
しかし多くの皮膚科医は、病名をつけることをその目的とされているようですが、
私自身は病名だけでなく、
皮膚の詳細な変化の原因を栄養というフィルターを通して追究したいと思っています。
 
そのため、皮膚を肉眼的に診るだけではなく、
驚かれる方もいるかもしれませんが、自身の顔を患者さんの皮膚に近づけて拡大鏡を用いて診察することもよくあります。
そうやってじっくり診ていくと細かい皮膚の変化が見えてきます。
さらに診るだけでなく、皮膚に触れることで、ぶつぶつ、ザラザラ、冷たい、浮腫み、硬い、など触って初めてわかる変化もあります。
つまり、視診と触診(時に臭いなど)を駆使して、皮膚の詳細な変化を観察しますが、もちろん皮疹の分布状態や問診なども参考にします。
 
そうやって皮膚を診ていくと、
「あぁこの方、鉄が足りてないなぁ」
「亜鉛とビタミンAが不足気味だなぁ」
「糖質の摂り過ぎだろう」
というのがある程度予想がつきます。(詳細な確認は血液検査)

いつも申し上げているように、
診断(病名)も必要ですが、診断された方は体の栄養代謝異常による皮膚の変化のある方(病人)です。いくら病名に対する決められた治療をしても、
「よくならない」
「薬をやめたら出てきた」
「再発、繰り返し」
という方は、やはり病人自体を治さなければよくなりません。

 

 

 

2017.06.13

手荒れと栄養

こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚科診療では手荒れはよくある疾患です。
水や洗剤による刺激や職業的(美容師)なことが原因、対策は刺激回避やゴム手袋着用など、
薬はお決まりの、カサカサには保湿剤、ひどい時はステロイド外用剤が、
どこの皮膚科に行っても処方されます。
しかし、よくならない、繰り返し、という方は後を絶ちません。
 「保湿が足りない」
 「ぬり方が悪い」
という医師もおれば、挙句の果ては、
 「家事を止めない、仕事をやめなさい」と心無いことを言う医師もいます。

自身もそうですが、手にクリームや軟膏などは仕事中はべたついてぬれませんし、ぬりたくもありません。
やはり皮膚そのものを刺激にまけないようにすることが大切であると考えます。
そのためには食事の見直しや十分な栄養補給をおこなうことが手荒れに限らず、治りにくい皮膚疾患に必要な対策であると思います。
「手荒れにはどんな栄養が必要?」
それは手荒れという病名ではなく、詳細な皮膚の変化をじっくりみることで分かります。

 

 

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