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2015.12.05

かゆみはつらい

こんにちは、院長の栗木安弘です。

かゆみは何の前触れもなく突然出てきますが、
多くは仕事中は少なく、帰宅して家でリラックスした時によく経験します。
また、食後やアルコール・カフェインなどを摂取した場合、入浴後にもよくあります。
当然何かの刺激物が付着した場合も生じますし、
体内の異常のあらわれとしても生じますが、多くは鉄不足や糖質過剰の方に認められます。

世間一般にはかゆみは、「掻かないこと」が正しい行為のような風潮で、
「掻くのはよくない、掻いたらダメ」と叱咤されている方、患者さんに指導されている皮膚科医も見受けられます。
そのためかゆみを我慢されている方もおられますが、
かゆみ自身もつらいけど、それを我慢する方がもっとつらいような気がします。

私自身も痒かったら掻いていますし、患者さんにも「我慢せず、掻けばよい」と指導しております。
掻いたら悪化する、バイ菌が入ると思われていますが皮膚が丈夫であればそんなことはありません。
それでも掻くのが嫌なら、かゆみ対策として、
 冷やす
 体を動かす
 かゆみ止めを飲む
 痛み刺激に変えて紛らわす。(痛みはある程度我慢はできる)
あたりです。

コレステロールや胃酸など本来体に必要な成分が病気の犯人として思われているように、
皮膚科においても“掻くこと”が皮膚が治りにくい原因や悪化因子として考えられていることにとても違和感を覚えます。

2015.11.20

アトピーの原因

こんにちは、院長の栗木安弘です。

アトピーは、
 角層内セラミド減少
 真菌、黄色ブドウ球菌
 フィラグリン遺伝子異常
 神経系細胞
などが原因として報告されていますが(一体どれやねん)
実際はこうした研究成果が発表されてもすぐに治療薬として応用されることはないようです。
そのため現状はステロイド外用剤やスキンケアでのコントロールが主体となりますが、
日々皮膚の変化を診察し、血液検査を診ていると、
アトピーを含め、皮膚の変化は明らかに内臓の変化(栄養障害)であることはほぼ間違いないようです。

栄養障害の原因は、
 食事のかたより(糖質過剰、ω6過剰、タンパク質不足)
 消化吸収(ピロリ、胃酸分泌低下、リーキーガット、腸内環境)
 肝機能障害(脂肪肝など)
 貧血
 需要亢進(成長、妊娠、スポーツ)
 薬剤性
といった栄養の吸収・代謝・運搬障害が複雑に絡み合っているため、
どこに原因があってどの栄養素が優先的に必要かは個人個人違ってくるため、難しい反面やりがいもあります。

「今の医学ではほとんどの病気は治せません。コントロールするだけです。医学で治せるのは感染症の一部くらいです」
「アトピーも生活に支障のない程度にステロイドやスキンケアでコントロールすることです」
と某皮膚科教授がある雑誌で述べていましたが、これはある意味負けを認めているような印象を私は受けます。
アトピーコントロール、原因解明もよろしいが、早期に治療に結びつける対策がやはり必要です。

2015.11.02

全身を診る皮膚科

こんにちは、院長の栗木安弘です。

この土日は神戸で開催された日本皮膚科学会中部支部総会に参加致しました。
私も「アトピー性皮膚炎における血液検査の意義」というタイトルでポスター発表を致しました。
今回は、具体的な血液検査の読み方や改善例をご紹介させていただきました。

今回もそうですが、毎年学会では、
アトピー性皮膚炎をはじめ皮膚疾患の予防は正しいスキンケアを行うことを強調されていますが、
私自身は、全身に栄養を入れ、皮膚を強くすることが本当のスキンケアだと思います。

学会会頭も「全身の診れる皮膚科医を」ということをあいさつで述べられていましたが、
いい意味で専門的、悪い言葉で局所しか診ない傾向が皮膚科にはまだまだ根強いと思われました。

2015.10.30

機能性皮膚科学会

こんにちは、院長の栗木安弘です。

長年、皮膚科業界にいると、
皮膚科診療の決まりや約束事みたいなものが分かるようになります。
その一つに皮膚疾患の確定診断には、
病変部の一部を切り取り、その細胞の変化を顕微鏡でみる病理組織検査というものが行われます。
その対象は、
 ①広範囲で重症の皮膚疾患
 ②なかなか良くならない皮膚疾患
 ③難病といわれる皮膚疾患
 ④皮膚腫瘍
が多く、一般病院や大学病院では生検による病理組織検査が日々行われています。

私も大学病院時代には上司の指示で一日数件の生検を行いましたし、
一般病院でははっきり診断がつなかい皮膚の変化によく生検を行っていました。
病理組織検査が診断の切り札という感じでしたが、
それでも診断がつかなかったり、診断しても良くならない、といった方も少なくありませんでした。

病理組織検査は細胞の形態や並び方や変化を見ます。
皮膚科医に求められるのは肉眼的な診断だけでなく、病理組織検査の診断も出来る能力で、
勤務医の頃は、さまざまな病理の教科書を読んだり、皮膚病理カンファレンスやセミナーにも参加して来ました。

皮膚科医として皮膚や細胞の変化を確認し、診断確定することは重要だと理解できますが、
私自身はそれ以上に皮膚の機能という部分に注目すべきだと考えています。
皮膚の機能は、すでに遺伝子レベルでの基礎研究は幅広く行われているようですが、なかなか臨床には応用されていません。

こうした機能を分子(栄養素)レベルで理解すれば、
表皮の角化にはビタミンA・D、亜鉛、
コラーゲンの形成にはタンパク質、鉄、ビタミンC、亜鉛、
ムコ多糖類は、ビタミンA、コンドロイチン硫酸など多くの栄養素が関わり、
不足した場合には皮膚の機能低下により、皮膚のさまざまな変化が表れてきます。
さらに皮膚の栄養不足は、消化管や肝臓といった内臓の機能低下(栄養障害)と密接に関わります。

皮膚疾患の診断・治療も重要ですが、それだけでは不十分です。
やはり皮膚の機能そのものを回復させなければ、長年苦しんでいる患者さんは満足されないでしょう。

2015.10.09

なぜ皮膚科にサプリメントが必要か?

こんにちは、院長の栗木安弘です。

皮膚科診療にも栄養は応用されています。
例えば、
 角化症にはビタミンAやビタミンD
 しみにはビタミンCやビタミンE
 にきびにはビタミンA
 口内炎にはビタミンB
 褥瘡には亜鉛
 掌蹠膿疱症にはビオチン
 水疱性類天疱瘡はニコチン酸
というように皮膚と栄養は関わりが深いようなのは確かです。

しかし、こうした薬剤は人工的に作られた栄養素であるため、
各栄養素や栄養代謝を学んでいけば、こうした保険薬では効果は不十分であることが分かります。
例えば、
 鉄は鉄剤よりもヘム鉄の方が吸収もよいですし副作用もありません。
 ビタミンBの保険薬は合成品で少量ですし、ビタミンB代謝に必要な核酸は配合されていません。
 保険薬のユベラは合成ビタミンEで、代謝をされず胆汁排泄されてしまう。
など他にもまだまだあります。

体に必要なのは天然の栄養素であること、そして皮膚が人体最大の臓器であることを考えれば、
やはりたくさんの栄養素が含まれた良質のサプリメントが必要にならざるを得ないと思います。
医師の多くは保険適応のある薬剤がベストで効果的と考えておられますが、意外とそうでない場合もあります。

2015.09.03

皮膚も生きている

こんにちは、院長の栗木安弘です。

体は食べているものからつくられるのは多くの方は理解されているようですが、
皮膚も食べものの量、種類、質によりさまざまに変化することはあまり感じておられない方がほとんどです。
私も栄養療法を学ぶ前には、「皮膚に何もなければ健康、変化があれば病気」
という認識しかありませんでした。

皮膚も臓器の一部であり、常に新陳代謝をくりかえして生きています。
体内の栄養状態により、その作り方や機能は影響され、変化し続けます。
その変化は
 ①肉眼的に確認できる異常
 ②虫メガネや顕微鏡的に確認にできる異常
 ③分子レベルの異常
があり、③→②→①という順番で進行しますが、通常の診察ではその確認は①か②までが限界です。

皮膚は内臓(栄養)の鏡であり、
栄養障害が多くの方に存在していることを理解すれば、
かゆみ、ブツブツ、赤味、カサカサ、ひび割れ、ゴワゴワ、脱毛、白い、色素沈着、しわというような
皮膚の変化は病気まで行かなくても、多少誰にでも生じることになります。

こうした変化に治療が必要かどうかは、見た目や本人の自覚の問題ですが、
できるだけ体内の栄養状態を良くすることで、皮膚のトラブルを最小限にしたいものです。

2015.09.01

外用剤のかぶれ

こんにちは、院長の栗木安弘です。

アトピー性皮膚炎をはじめ、治療をしていてもなかなか良くならない皮膚疾患の場合には、
意外とぬっている成分にかぶれている場合も少なくありません。

以前経験した患者さんでは、
顔面の難治例では、スキンケア用品によるかぶれ
アトピー症例では、ラード、クロタミトン(止痒剤)による悪化例もありました。
文献的には皮膚科でほぼ毎日処方されるヒルドイドも添加物によるかぶれの報告もあります。
その他、市販の保湿剤や化粧品などに含まれた添加物、保存料などにもかぶれている例もあるかもしれません。
結局、なにもつけない患者さんの方が意外と経過がよかった方もおられました。

皮膚という目に見える変化やかゆみに対して、
何かをぬって早く対応したいという気持ちも分からないこともありませんが、
皮膚のバリア機能が低下した場合に、人工的な物質を皮膚に長くぬり続けることで、
容易に外用剤の成分が侵入し、逆にかぶれ・アレルギー(専門用語で感作という)を起こす危険性を常に考えなければなりません。

やはり皮膚のバリア機能は、体が本来知っている成分(栄養)で内面から回復させながら、症状緩和目的で一時的に外用することをおすすめします。

2015.08.21

かゆみとの付き合い方

こんにちは、院長の栗木安弘です。

かゆみのない人は世の中にはいません。
かゆみは何の前触れもなく、突然襲ってきますが、
食後、体温が上昇した時、夕方~夜中にかけて多いのではないでしょうか。
世間一般、皮膚科の世界では、
 「掻いたらダメ」
 「掻くから治らない」
 「掻くのが癖になっている」
という考え方が常識のようですが、
かゆいから掻くわけで、掻いたらとても気持ちいいので、かゆみを我慢することなど到底できません。
それに「掻くな」と言っている本人が掻いているというおかしな風潮にもなっています。

かゆみの原因はさまざまで、頑固に続く場合には、
 食べたものに対する異物反応としての症状(アレルギー)→取り除きたいという動作がかゆみである
 鉄欠乏性貧血、鉄不足
 発汗、かぶれ、体温上昇、アルコール、カフェイン、糖質過剰
などがあげられ、心当たりのある食べものを控える、ヘム鉄内服など行うようにしております。
私自身、糖質過剰や卵やカフェインでかゆみが出るような感じがします。

かゆみはある程度、生理反応であり、完全には止めることはできませんが、
不快にならない程度まで抑えることは可能だと考えています。
ただし頑固な場合には体内の異常のサインとして捉えることも必要かと思われます。

2015.06.02

外用中心主義

こんにちは、院長の栗木安弘です。

先週の金土はクリニックを臨時休診して横浜で開催された皮膚科学会に出席しました。
さまざまな皮膚疾患の講演がありましたが、おもにアトピー性皮膚炎やスキンケアに関する講演に参加しました。

講演内容は、エビデンスの高い外国の論文からの研究データを説明されながら、
ステロイド外用剤の安全性やぬり方(おもに1FTUやプロアクティブ療法)、保湿の重要性が強調されていました。
具体的には、皮疹が軽快しても週2~3回のステロイド外用、1日2回の保湿を継続することが重要で、
こうしたケアを生活の一部として取り入れるような提案もされていました。

多くの皮膚科医はメモを取ったり、うなずいたりしておりましたが、
私はあまり素直に受け入れることはできませんでした。
どうしても皮膚科医はぬり薬やスキンケアを中心に考える傾向がありますが、
患者さんは何かをぬるため、保湿をするために生活しているわけではありませんし、
べたべたして気持ち悪い、患部に手が届かない、仕事や育児が忙しい場合には、継続することは難しいようです。

そして何よりもこうした治療やケアで完治できればよいのですが、
結局は永久にこの治療が続けられ、喜ぶのは製薬会社ということになります。
やはり、面倒な外用療法やスキンケアが必要でなくなる対策を併用していく必要がありますが、現時点ではエビデンスが乏しいようです。

学会では亜鉛に関する講演もあり、同じようなことを述べていた皮膚科でない医師もおられましたが、
やはり皮膚科医は、内面ではなく、外から何かを施すことに関心があるようだと大いに感じた学会でした。

2015.05.28

皮膚科学会

こんにちは、院長の栗木安弘です。
明日から横浜で行われる第114回日本皮膚科学会総会でポスター発表をおこなうために、
ご迷惑おかけしますがクリニックは臨時休診といたします。

今回は脂漏性皮膚炎がテーマで、
一般に大人の脂漏性皮膚炎(フケ症)は、慢性に繰り返すため治りにくいとされています。

治療法として、ステロイドローションや抗真菌剤入り外用剤が処方されますが、
その使い方には明確に決まっておらず、
そのあたりをマラセチア(真菌)やビタミンBと関連付けて多くの先生方に理解していただきたいと思います。

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