対症療法
こんにちは、院長の栗木安弘です。
医者になったころは、病気を治したいという期待をもって仕事に励んでいましたが、
2~3年過ぎて外来診療を行うようになってから、
「皮膚科というのは対症療法ばかりだなぁ」と感じるようになりました。
例えば、
皮膚の赤味やかゆみが強ければ、ステロイド外用剤
皮膚が乾燥してカサカサであれば、保湿剤
ジクジクやひび割れは、亜鉛華軟膏
など、当たり前ですが、表面の対応ばかりです。
そのことに気が付いて悲観する一方で、多くの皮膚科医がそうであるように、
ぬり薬という武器をうまく使いこなすことが皮膚科医の使命や技量だと思い、
私自身も効果的なぬり方を教科書や論文を参考にしたり、学会での発表や講演会を拝聴して模索していたこともありました。
しかし結局は、外から何かをぬるという対症療法であることには変わりなく、
皮膚を根本的に治すためには、皮膚代謝を理解すれば、
やはり内面からアプローチしなければよくならないと、
栄養療法に出会ってから強く確信するようになりました。
皮膚の変化の背景には必ず体全体の栄養状態が深く関わっています。
そのことを理解すれば栄養療法と対症療法の組み合わせがベストであると考えます。
通常皮膚科クリニックといえば、レーザーや美容治療併設がほとんどですが、甲子園栗木皮膚科クリニックはできるだけ、根本的でベストな治療を目指しています。
手荒れと栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚科診療では手荒れはよくある疾患です。
水や洗剤による刺激や職業的(美容師)なことが原因、対策は刺激回避やゴム手袋着用など、
薬はお決まりの、カサカサには保湿剤、ひどい時はステロイド外用剤が、
どこの皮膚科に行っても処方されます。
しかし、よくならない、繰り返し、という方は後を絶ちません。
「保湿が足りない」
「ぬり方が悪い」
という医師もおれば、挙句の果ては、
「家事を止めない、仕事をやめなさい」と心無いことを言う医師もいます。
自身もそうですが、手にクリームや軟膏などは仕事中はべたついてぬれませんし、ぬりたくもありません。
やはり皮膚そのものを刺激にまけないようにすることが大切であると考えます。
そのためには食事の見直しや十分な栄養補給をおこなうことが手荒れに限らず、治りにくい皮膚疾患に必要な対策であると思います。
「手荒れにはどんな栄養が必要?」
それは手荒れという病名ではなく、詳細な皮膚の変化をじっくりみることで分かります。
栄養療法は治療
こんにちは、院長の栗木安弘です。
「サプリメントは必要なし」
「食事の栄養で十分」
「食事を変えれば〇〇はよくなる」
を強調される方が多く、書店に行けば、〇〇食というような食事療法を推し進めている本が山のように並んでいます。
確かに食事を見直すことで一部の疾患や症状も改善し、サプリメントは必要ないかと思われますが、 栄養療法の基本はドーズレスポンスという概念に基づいており、
食事摂取や自己で生合成できる栄養量より10~100倍以上の栄養を摂取することに意味があります。
食事の見直し、サプリメントなしで越したことはありませんが、
栄養を多く摂取することで予防効果や治癒力が高まっていきます。
つまり、栄養療法は食事とサプリメントを用いた“治療法”だということですが、
現実は、「食事に含まれた栄養、バランスのよい食事、サプリメントに頼らない」というのが金科玉条のようであって、こうしたスタンスの強いTVの健康番組では、番組スポンサー等の影響もあって、特定のサプリメント会社のサプリメントを用いたこの画期的な栄養療法は残念ながら大きく紹介されることはありません。
カサカサ
こんにちは、院長の栗木安弘です。
乾燥肌の状態を分かりやすい言葉で表現すればカサカサです。
カサカサは診ただけで誰でも分かりますが、
よぉーくみればいろいろなカサカサがあるのが分かります。
①毛穴に一致したカサカサ(フケで多い)
②皮膚の溝にそったカサカサ(手荒れで多い)
③毛穴の膨らんだカサカサ(ザラザラ)(子供の乾燥)
④皮膚がゴワゴワにともなうカサカサ(アトピーで多い)
⑤水疱のあとが丸くなるカサカサ(襟飾り状)(手荒れで多い)
⑥ひび割れのカサカサ(かかとに多い)
⑦その他、水虫などのカサカサ
などその細かい変化は拡大鏡で診て、触らないとその判断が分かりません。
栄養的に言えばカサカサの種類によりビタミンA不足、亜鉛不足、鉄不足に分かれますが 部位や重症度により混じっていたり、赤味やブツブツなどいろいろな皮膚の変化も合併していることがほとんどです。
こうして診ていくと、皮膚はまさしく内臓(栄養)のあらわれということを痛感します。
カサカサ=乾燥=保湿剤という方程式で、皮膚科ではヒル〇〇ドが処方されますが、カサカサの背景にはさまざまな体内の栄養の問題が隠れています。
学会発表
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚と栄養、皮膚科診療における栄養の重要性をできるだけ皮膚科の先生に理解してもらうため、年に数回は皮膚科の学会で発表をおこなっています。
珍しい症例、難渋した症例、研究症例などが多い学会のなかで、
皮膚と栄養に関する内容は、ある意味異質でアウエイ感と緊張感がありますが、
出来るだけ続けていくことで、多くの皮膚科の先生に栄養療法に興味をもって頂けると信じています。
今回も「アトピー性皮膚炎と鉄」という演題で、発表いたしますが、
アトピー性皮膚炎を何とかしたい、という思いで出会った栄養療法の基本が鉄ですので、基本に戻ったつもりで分かりやすくご紹介したいと思います。
栄養の勉強会
こんにちは、院長の栗木安弘です。
毎月1回、栄養療法の勉強会をおこなっています。
参加者は、医師や歯科医師、栄養士さん、歯科衛生士さん、鍼灸や整体師さんなど病気や健康にかかわる仕事をされている方々です。
おもに栄養の基本、食事に関すること、サプリメント、症例検討などで、
もうかれこれ4~5年は続いています。
栄養療法を学ぶようになって、
こうした勉強会や栄養セミナーを通して皮膚科以外の知識を学ぶこと、
また皮膚科の先生以外と交流させていただくと、
とても勉強になり、日々の診療に大いに役立ちます。
今までの自分がそうであったように、
皮膚科は、皮膚や皮膚疾患の勉強ばかり、皮膚科医と交流するばかりでしたが、
自分の世界を広げ、視野を広めることが重要だと栄養療法を通して学びました。
皮膚の変化と栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚の変化というのは、大袈裟に言えば体全体の栄養のあらわれであると確信しています。
体内の栄養障害が皮膚の栄養障害を生じ、皮膚の脆弱化がさまざまな変化として教えてくれます。
いつも申し上げているように、皮膚の変化を簡単に表現して大まかに分ければ、
かゆみ、ぶつぶつ(丘疹):鉄不足
ジクジク(湿潤)、ひび割れ、色素沈着:亜鉛不足
赤味(紅斑)、毛細血管拡張:ビタミンB群・C・E不足
カサカサ(乾燥)、ゴワゴワ(苔癬化):タンパク質・ビタミンA・D不足
という傾向があり、それぞれが重複して皮膚の変化としてあらわれます。
たとえば、よくある湿疹(アトピー)というものは、
教科書的には、紅斑、丘疹、湿潤、苔癬化など多様性変化と定義されますが、
皮膚をじっくり診て、触れて、その変化や分布を確認することで、
どういった体内のどの栄養素が不足しているかを推測することが可能です。(確認は採血でおこないます)
このことは湿疹だけではなく、ニキビやフケ症といったほかの皮膚疾患にも当てはまります。
また不足した栄養を補給するだけではなく、栄養が不足した原因(食生活や消化吸収など)も追究して対応しなければなりません。
皮膚科診療のほとんどは皮疹を診て診断・治療がおこわれますが、
一旦〇〇病という診断がなされれば、
「毎回同じぬり薬」
「スキンケアばかり」
「皮膚を診てくれない、触らない」
「原因不明でぬり薬を続けなさい、と言われた」
といった不満も患者さんからお聞きします。
やはり病名だけにとらわれず、皮膚の変化にある背景や原因にまで踏み込んだ皮膚科診療をしないと、皮膚科としての値打ちや患者さんの満足度もアップしないかと思われます。
ホームページリニューアル
甲子園栗木皮膚科クリニックのホームページがリニューアル致しました。
これを機会に院長ブログもこちらの方に引っ越しをいたしました。
引き続き、
栄養療法
皮膚と栄養に関する情報
皮膚科診療の問題点
セミナー参加や近況
などをご紹介する予定です。
世間一般には、
「バランスよく食べている」
「野菜を多くとっている」
「皮膚と栄養はあまり関係ない」
思われておりますが、このブログを通して正しい食事や栄養の知識、栄養と病気の関わりを知っていただき、
皮膚もまた、ぬり薬やスキンケアだけでなく、体の内側から栄養ケアしていく必要があることを理解して頂きたいと思います。
日にちぬり薬
こんにちは、院長の栗木安弘です。
多くの方が経験されていると思いますが、
湿疹や虫刺され、擦り傷、やけど、縫い合わせた傷
などは時間ととものゆっくりと元の皮膚に戻っていきます。
これを皮膚の作り変え、あるいは治癒力、ホメオスターシスといいます。
皮膚の作り変えは年齢や個人差があって約1~6カ月くらいはかかりますが、
出来るだけくスムーズに行うことが皮膚疾患の改善やアンチエイジングにつながり、
それにはぬり薬や高級な化粧品やクリームではなく、タンパク質をはじめビタミンやミネラルといった栄養です。
皮膚科を受診される方で、
「すぐによくならない」
「診断がはっきりしない」
「原因不明、治療法がない」
といわれる場合でも、とりあえず皮膚は内臓(栄養)の鏡として捉えれば、
栄養療法により、体内環境をよくすることで皮膚もゆっくりとよくなっていく方も大勢おられます。
今年の花粉症
こんにちは、院長の栗木安弘です。
またこの季節がやってきました。
花粉症歴は約15年くらいで、
抗アレルギー剤をいろいろ試したり、漢方薬を服用したり、耳鼻科のお世話になっても、
鼻水やくしゃみが止まらない、夜中に両方の鼻が詰まって死にそうになったこともありました。
サプリメントを飲みはじめても、劇的には改善しにくい自身の頑固な花粉症でしたが、
今年は、EPA(エイコサペンタエン酸:1000mg/日以上)、ビタミンD(5000IU/日)を加えているのと、度数の強いアルコールを減らしているせいもあって、それほどひどい症状は出ておりません。
加えて、腸内環境改善対策で今年の花粉症を乗り切ろうかと思います。