ブログ

2016.11.10

パッチテスト

こんにちは、院長の栗木安弘です。

かぶれや湿疹の原因を見つけるためのパッチテストという検査があります。
金属や疑わしい化粧品などを皮膚に貼り付けて反応をみる検査で、
この検査で原因物質を特定するというものです。

パッチテストはかぶれのや湿疹の原因をはっきりさせるには有効な検査ですが、
 暑い時期は検査ができない
 判定は医師の主観的は判断であり、偽陰性、偽陽性、刺激反応もある
 皮膚に貼って検査するため、病変部が広範囲であれば検査できない
 貼ることで感作(アレルギーの獲得)される可能性がある
 陽性反応が出た金属(歯科金属、食物内金属)の除去や回避であるがコストや手間がかかる
という問題点もあります。

日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会では、
こうしたパッチテストにより、さまざまな物質のかぶれが多数報告され、新たなアレルゲンも次々判明されています。
通常は原因物質を特定して回避すべきことが基本ですが、
洗剤成分やゴムや染毛剤など職業柄、全て回避できない場合もあります。
また食物アレルギーにしても食品の反応が多いとすべて除去はできない等の問題点もありますし、
金属アレルギーの場合では歯科金属を除去してもよくなる保障もありません。

アレルゲンの原因追究や回避もよろしいが、
犯人ばかり捕まえて犯罪を防ぐ対策をしていない気がします。
今後はかぶれにくい・アレルギーの起こしにくい丈夫な皮膚や体を作る検討や対策もしてほしいと思います。

2016.11.04

困難な道

こんにちは、院長の栗木安弘です。

皮膚科診療において、
患者さんの希望通りにぬり薬を処方、またぬり方の細かい指導は、
皮膚科として当たり前のことで患者さんも納得されるかもしれませんが、
長い目でみると本来の皮膚の治し方ではない気がしてなりません。

皮膚の機能はバリア機能であり、外部からさまざまな刺激や微生物から体を守っている一番大きな臓器です。
そして皮膚の新陳代謝というのは下から上への一方通行です。
一方通行の代謝で汗や皮脂や老廃物を一緒に排泄することは皮膚科医は誰でもご存じです。
また皮膚表面を覆っている皮脂も皮膚のバリア機能に必要です。
かゆみやかぶれに対して一時的にぬるのはよいかもしれませんが、
皮膚表面に人工的なものをぬり続けることが、果たして皮膚の機能に影響はないのでしょうか?

皮膚も臓器の一部です。そして皮膚に必要なものは、やはり栄養です。
その栄養は体の内側から入れてやることが自然な皮膚のアプローチですが、
そこまでの道のりは、
食事内容だけでなく、たくさんの栄養摂取(サプリメント)が必要ですし、
栄養の消化吸収・代謝・運搬に関わる口腔環境、消化吸収、肝臓、貧血といった対策も行わなければ、
皮膚に十分な栄養は到達できません。(お金も時間もかかります)

つまり皮膚は目の前に見えていても、ものすごく大きく、遥か遠い存在というわけです。

歯科や内科は口から経口投与、整形では骨=カルシウムというイメージで、
栄養療法は取り組みやすいですが、皮膚科はお手軽なぬり薬というイメージが強いせいか、
皮膚科医も含めて多くの方は栄養に関心のないことがほとんんどです。
それでも日々の診療で、この栄養療法を必要とする方は皮膚科の中でも大勢いると痛感しています。

2016.10.31

コラーゲン合成

こんにちは、院長の栗木安弘です。

コラーゲンの材料は、タンパク質、ビタミンC、鉄
であることは意外と知られていませんし、皮膚科医もご存じの方は多くありません。
私も栄養療法を勉強するまで知りませんでした。

コラーゲンは皮膚の70%を占め、皮膚のハリや弾力性に関わる重要な成分です。
当然少なくなればしわやたるみが目立ってきます。
さらにコラーゲンが少なくなれば、皮膚が薄くなったり、かゆみ神経が表面まで伸びてきますので、
軽微な刺激でかゆみが生じることもよく経験します。
さらに表皮の角化にも影響を与えます。(乾燥肌や角化異常)

とくに頑固なかゆみについては、あれこれぬり薬やかゆみ止めを変えるのではなく、
一度採血で栄養の評価を行い、
タンパク質、鉄、ビタミンCをたくさん摂取する(できればサプリ)ことをおすすめします。

皮膚の中心は一番外側にある表皮として考えられ、
表皮内ケラチノサイトの研究が多いようですが、私自身は真皮コラーゲンが主役だと思っています。

2016.10.24

中部支部総会IN大阪

こんにちは、院長の栗木安弘です。

この土日は大阪で日本皮膚科学会中部支部総会が開催されました。
今回は私の元医局である兵庫医大皮膚科が主催でしたので、
私も微力ながらポスターならびに口頭での発表をさせていただきました。
内容はお馴染みの栄養やサプリメント関係で、一部の先生には大変興味を持っていただきました。

学会全体としては今回は、
 難しい研究結果
 難渋例、手術例
 新しく承認された抗がん剤(抗PD1関係)の副作用症例
 水疱症の遺伝子診断
 乾癬の生物学的製剤の使い分け
などとても研究色や専門性の高い内容で勉強になりましたが、クリニックレベルでの応用はなかなか難しいと感じました。

診断確定に必要な特殊な検査、状態に合わせた薬の使い分け、特殊な手技や手術なども必要でしょうが、
皮膚は内臓(栄養)の鏡、皮膚をよくするためには、
正しい診断やガイドラインによる適切な治療だけでなく、まずこうした体内環境の改善にも注目していただきたいと思っています。

2016.10.14

アトピー冊子

こんにちは、院長の栗木安弘です。

皮膚科医としてこの身近な疾患が治せるようになれば、
皮膚科の値打ちもあがりますが、実際は、
 よくならない。
 ぬるのをやめたらまた出てきた。
 かゆみが続いている。
 薬が効かない。
 重症例は大きな病院に紹介
と難渋するケースも多々あります。
病院に勤務していた頃は、こうしたアトピー性皮膚炎の患者さんには、
漢方薬の併用、金属アレルギーの精査と除去、石鹸類の見直し、和食を推奨、ダニ防止布団など
いろいろを試していましたが、これだという確信はありませんでした。

栄養療法も当初は胡散臭いサプリメントを勧めることに抵抗がありましたが、
少しずつ学んでいくうちに、栄養の重要性や必要性、皮膚と栄養など、
アトピー性皮膚炎だけでなく皮膚をを治すにはこれを併用するしかないと確信しました。

今回作成したアトピー冊子は、
栄養療法で今まで学んできたことや、皮膚科診療で栄養療法を導入して理解したことをまとめています。
これをすればアトピー性皮膚炎はよくなるような正解はありませんが、
食事や栄養の正しい知識を得ることで、アトピー治療のヒントや手助けになればと思っています。

2016.10.11

3連休

こんにちは、院長の栗木安弘です。
先週土曜日は大阪地方会で学会発表をおこないました。
皮膚と鉄欠乏性貧血についての内容で、
貧血を改善させることが皮膚をはじめあらゆる疾患の基本治療であることを強調致しましたが、
当たり前過ぎたのがどうか分かりませんが、質問はありませんでした。

翌日の土日は東京まで出張、毎年行われている分子整合性栄養医学基礎講座に参加致しました。
この勉強会も一部欠席した年もありましたが、今年で約7回目くらいの参加ですが、
忘れていた栄養の知識を引き出してくれて、整理をしていただけるのと、
最新の栄養研究やデータ、トピックスを紹介していただけるためとても勉強になります。
またアウエイ感の強い学会に比べて、この講座は栄養に理解のある医師と出会え、情報交換できることもメリットの一つです。
それにしても毎年異なった内容の講義をされている講師の先生方には頭が下がります。

この3連休の学会発表、基礎講座を通して、
知識を深め、それをアレンジして繰り返し情報発信していくことが大切だと思いました。

とういうわけで今月22日、23日大阪で日本皮膚科学会中部支部総会が開催されます。
引き続き、皮膚と栄養について情報発信していきます。

2016.10.06

皮膚を内側から治す

こんにちは、院長の栗木安弘です。

こうした方針で診療している皮膚科は少ないでしょう。
かぶれや虫刺されなどはそれでもよいかもしれませんが、
アトピーやニキビやフケ症、乾癬などの慢性に繰り返す疾患の場合には、外からの対応は何の解決にもなっていません。

実際クリニックを受診される患者さんで、
 「ぬるのをやめると出てくる」
 「保湿が足りない」
 「原因不明といわれた」
 「これぬっておきなさいと医師から言われた」
と言われる方も少なくありません。

皮膚科の学会に参加しても、こうした問題は、
「ぬり方が適正でない、だから正しい外用とスキンケアをしっかり」
をお偉い先生方は強調され、
全てこれだけで片づけられている印象を受けます。

日々の診療で、
 「食事を変えたら皮膚がよくなった」
 「甘いのを控えたらかゆみが減った」
 「鉄やビタミンBを飲んだら肌の調子はいい」
 「便通がよくなってニキビが減った」
ということを経験すると、
皮膚科医はもっと皮膚に起こっている変化を内臓の異常(とくに栄養障害)と捉えて対応することが必要です。
クリニックは昨日で7年目となります。
引き続き、時間もかかる困難な道ですが、本来の皮膚の治し方を追究していきます。

2016.09.28

サプリメント否定派

こんにちは、院長の栗木安弘です。

医師のほとんどはサプリメントを嫌います。
 「保険適応のある薬が一番効く」
 「サプリメントはどこでも同じ、効かない」
 「科学的根拠がない」
 「過剰症や胃や肝臓が悪くなる」
 「栄養は十分ある、サプリメントなんか必要なし」
など栄養療法に出会うまで私もこのように考えていました。

医師は専門的に診断法や薬の使い方・手技ばかりを学ぶことが多いようですが、、
体の代謝(生化学)、病気と栄養代謝、生化学的な血液検査の読み方を勉強すれば、
栄養の重要性、病気の多くは栄養障害が原因であることが理解できますし、
病気を治すのが薬ではなく、自然治癒力(栄養)であることやサプリメントの必要性も理解できるかと思われます。

栄養療法は自然治癒力を高めるだけでなく、現行の標準治療の副作用の軽減や治療効果も高めてくれます。
おかしな治療法にハマっていると思われている医師も多いかと思いますが、
西洋医学しか知らない医師は診療だけでなく身体的にも非常に損をしている気がします。

2016.09.24

ビタミンAをうまく使おう

こんにちは、院長の栗木安弘です。

ビタミンAは栄養療法を行う上でのキー栄養素の一つと考えています。
とくに、
 ①皮膚の角化の調整
 ②ニキビやイボや魚の目
 ③粘膜の機能維持
 ④腸管免疫
 ⑤目の疾患
 ⑥ポリープやがんの予防
といった作用や効果が知られており、
臨床でビタミンAが応用できれば、かなり多くの疾患の改善が期待できるかもしれません。
しかしビタミンAという栄養素は、
 摂りすぎると過剰症
 妊婦に奇形が生まれる
という間違ったイメージがあるため、医療現場や栄養指導では敬遠されることがほとんどです。
実際、危険なのは合成ビタミンAであり、サプリメントを含めた天然ビタミンAはほとんど問題ありません。

またビタミンAは、おもに肝臓に貯蔵されており、肝臓から取り出すためには亜鉛が必要であり、
運搬するためには専用タンパク質(タンパク質合成にはビタミンB群も)も必要となります。
さらにビタミンA吸収には胆汁酸も必要となるため、十分なコレステロールも必要です。
栄養は薬のようにこれだけ摂ればOKではなく、
ビタミンAを摂取する場合にもは、ビタミンAを吸収代謝運搬ができるための栄養が必要となります。

2016.09.14

ステロイドVS脱ステロイド

こんにちは、院長の栗木安弘です。

ステロイド外用剤を使用するか、しないか
という議論がよくされますが、
私自身は、かゆみやじくじくがひどい場合や、
人前に出る場合にはステロイド外用も必要かと思われます。(場合によっては内服させる)

ただステロイド外用剤がよく効くからといって、
ダラダラとそれだけを数カ月間使用することは避けた方がよいでしょう。
長期間外用することにより、
 ①皮膚の萎縮
 ②毛細血管拡張・皮下出血
 ③易感染性
という皮膚の変化だけでなく、感作や抵抗性、皮膚常在菌叢の変化なども起こりえます。

つまりステロイド外用で局所の炎症やかゆみは抑えられても、長年ぬることで皮膚自体が弱くなります。
もう何年もステロイド外用を続けている患者さんの皮膚はとても薄く、
血管が浮き上がり、掻くことで皮膚がめくれたり、出血や感染をよく経験します。だから掻いちゃダメと言うのでしょう。

繰り返しとなりますが、皮膚は長期間何かをぬる臓器ではありません。
短期間のステロイド外用剤やスキンケアはかまわないでしょうが、
本来は、食事や栄養補給により内側から皮膚を強くしながら、ぬり薬を減らしていく対策をおこなうべきです。

「いつも通り処方しておきます」「薬を使って病気と付き合う」「病気は薬で治す」
のではなく、薬というのは必要なときはしっかり使う、
そして減らしていくことで医療費(今年は41兆円で過去最高)の削減にもつながります。

1 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 38
株式会社MSS オーソモレキュラー研究会 ambrosia 乳酸菌生成エキス アルベックス

MSSダイレクト