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2016.12.07

苔癬化

こんにちは、院長の栗木安弘です。

苔癬化とは皮膚の状態をあらわす皮膚科用語で、写真に示すような皮膚が象のように固くゴワゴワになる状態です。
経過の長いアトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚にもよくみられ、掻破による慢性刺激変化と考えます。

組織学的には、表皮の肥厚と炎症細胞浸潤をみとめ、
慢性炎症により表皮のターンオーバー(新陳代謝)が停止した状態のため、いつまでも治らないというわけです。

栄養学的には、
表皮細胞の分裂には亜鉛、分化にはビタミンA、分裂・分化の命令はコラーゲン、
表皮細胞はケラチンというタンパク質で出来ており、細胞のエネルギーはビタミンB群が主となります。
また長年の重金属蓄積による影響なども考えられます。

苔癬化の治療はステロイド外用、免疫抑制剤が一般的ですが、
元通りのつるんとした皮膚になるまでは医学的には難しいようです。
やはり皮膚をきちんと代謝させる適切な栄養と、
栄養の吸収・代謝・運搬に関連した消化吸収・肝機能・貧血の改善も必要となり時間もかかります。
ステロイド併用によりかゆみや見た目の炎症を抑え、同時に栄養療法を行うことがベストかもしれません。

2016.12.05

女性の未来は食事で変わる

こんにちは、院長の栗木安弘です。

昨日は大阪の天満橋でオーソモレキュラーの一般講演会が開催されました。
約600人以上の方がご参加いただき、3名の講師の先生方の素晴らしいご講演で大盛況のうちに終わりました。
演者の先生方、参加された先生方、ONPの方々、スタッフの皆さま大変お疲れさまでした。

講演会の内容はとても勉強になりましたが、一方で個人的には、同席の医師や会場に来られた方々から、
 「ブログを読んでいます。私も同感です」
 「先生が作られた資料がとても参考になります」
 「以前の講演が勉強になった」
などありがたいお言葉をいただき、今までコツコツやってきたことが、
私の知らないところで小さな花が咲きはじめたような万感の思いがあり、とてもうれしく感じました。
また、講演会が終わって関係者だけの懇親会もいろいろな方とお話が出来て楽しかったです。
思い出に残る一日となりました。

2016.11.28

ニキビ治療に一言

こんにちは、院長の栗木安弘です。

この土日は研究会、勉強会、学会の連続でした。
土曜日は大阪でアトピー性皮膚炎研究会で発表、その後は栄養療法の勉強会に参加いたしました。
日曜日は京都で日本臨床皮膚科学会近畿ブロック支部総会に参加いたしました。

研究会はアトピーの内面からのスキンケアというテーマで栄養に関する内容を発表しましたが、
血液検査での栄養評価やサプリメントを使用することは皮膚科の間ではまだまだ理解が乏しいと実感しました。

学会でのニキビ講演もなかなかよかったですが、
ぬり薬だけでなくもう少し違う面からのアプローチもご紹介してほしかったです。

最近はニキビのぬり薬が続々と登場しており、
世界標準レベルになったと喜ばれる医師もおられますが、私個人としてはもうこれ以上要らないと思っています。
さまざまなニキビのぬり薬は、
 うまく使い分けるコツ
 各ぬり薬の併用のやりかた
 スキンケアとの組み合わせ
など、熱心に細かい外用やスキンケアの指導をされているクリニックも多いようですが、
実際は毎日ケアできないし、面倒くさい、べたつく、洗いすぎによる乾燥、かぶれや刺激なども問題点もあります。
食事の話も少し触れられておりましたが、タンパク質を多めに、サプリメントの活用ではなく、
相変わらず油ものを控えて、野菜中心のバランスのよい食事のみの紹介だけでした。

薬をうまく使うことが医療の基本であるため、皮膚科はほとんどぬり薬でしょう。
しかし、研究会の発表で強調したように、もっと皮膚の内面や体の内側を理解した皮膚アプローチ(修復)をしなければ、
皮膚科はただのペンキ屋だけで終わってしまうような気がします。

2016.11.24

最近の栄養療法

こんにちは、院長の栗木安弘です。

2007年に栄養療法に出会い、2010年から栄養療法を実践して、
いろいろな患者さんを診ておりますと、サプリメントの効果はとても個人差があるなぁと感じます。
今までの経験と講義から学んだことを、少し長いですが、
私なりのコツというか流行りを一部ご紹介したいとと思います。

①見逃されやすいビタミンC
皮膚科領域ではやはりコラーゲンが重要で、その材料は鉄、タンパク質、ビタミンCが必要ですが、意外とビタミンCは忘れがちで、摂取量も少ない方が多いような気がします。
とくに水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC)は個人差はありますが、
たくさん摂取する必要があり、ビタミンCは3000mg以上が理想だと思われます。
オーソモレキュラーの創始者であるライナス・ポーリングは晩年はビタミンCを12~18g/日飲んでいたと言われています。

②ビタミンAは名脇役
皮膚の角化やコラーゲン合成には必須ですが、どちらかというと鉄や亜鉛の方が優先されますし、
単独処方やタンパク質不足や代謝の悪い方は効果が出にくいかもしれません。
できれば少な目で継続していただくか、吸収のよいミセル化したビタミンAをおすすめします。
ビタミンDも同様ですが早く効かせたい場合には多めに摂取するのが良いでしょう。

③鉄欠乏性貧血の改善
とくに女性や子供には必須ですが、早く改善したい場合に多めに摂取をおすすめします。(ヘム鉄2~4個/日以上)
皮膚疾患を含め、どんな疾患も鉄欠乏性貧血をまず改善させることが基本となります。

④消化吸収が悪い、低コレステロールの方は効果が乏しい
サプリメントも栄養素なので、
やはり消化吸収力の低下(胃酸分泌低下、ピロリ菌、萎縮性胃炎、便秘、下痢など)の方は、
こうした対策も同時におこなう必要があります。
また低コレステロールの方は、ベースにタンパク質不足や代謝異常があるため、
タンパク質やビタミンB群を中心として栄養アプローチが優先となります。

⑤組み合わせ
フィトケミカルは別ですが、これだけ飲めば大丈夫ではなく、
栄養素という材料を入れて、体に必要な成分を作らなければなりません。
つまり栄養素が直接作用するのではなく、栄養素が活性化したもの、
あるいはコラーゲンのように栄養素を材料につくられたものが生体に作用することを理解しなければなりません。
改善したい症状や疾患によりその組み合わせは異なります。

⑥継続することが重要
脳や消化管は即効性があるかもしれませんが、皮膚は一番栄養が届きにくくかつ面積が広い臓器です。
1~2ヵ月してよくならなければやめてしまう方もいるようですが、やはり6ヵ月~1年以上は続けることが重要でしょう。
クリニックでも長く続けている方はよくなっていると感じます。

まだまだありますが栄養療法に取り組んでおられる医師、患者さんの参考になればと思います。

2016.11.18

至適量の理解

こんにちは、院長の栗木安弘です。

栄養療法を学ぶ上で理解しなければならないことの一つです。

細胞や組織は食べものから得られる栄養によりその機能を維持しますが、
細胞や組織の機能を向上させる量というのは、
個々で異なり、その差は20~200倍とされており、これを至適量といいます。

考え方はいろいろありますが、
私なりに解釈すれば、摂取された栄養を、
少なくやりくりすることができる細胞や組織がある一方で、
多く摂取しなければはたらかない細胞や組織、
があり、こうした差が病気の発症あるいは、老化が進行しやすいかどうか違いと捉えています。
当然皮膚のトラブルが続く方(皮膚が弱い方)は後者です。

個人の至適量はどのくらい必要かは誰も分かりません。
そのため大は小を兼ねるという発想から、栄養は多めに入れることを原則としますが、
食事から摂取できる10~100倍以上の栄養が必要となり、サプリメントを利用することになります。

私のことをサプリメントばかりすすめる医師という方がいますが、
やはりこうした至適量という概念や皮膚と栄養に関して理解すれば、
皮膚はぬり薬や美容処置だけの対症療法だけでなく、根本的に治すにはサプリメントを使用せざるを得ない気がします。

2016.11.14

下肢静脈瘤研究会

こんにちは、院長の栗木安弘です。

先週の土曜日に近畿下肢静脈瘤研究会が大阪でありました。
今回はお世話になった先生がご講演をされるというので久々に参加させていただきました。
大学病院時代はよく下肢静脈瘤の手術をしておりましたが、
今回の講演内容を聴くと、
局所麻酔下、レーザー焼灼など下肢静脈瘤の治療は随分変わったなぁと実感しました。

私自身としては、
日々の診療や手術など下肢静脈瘤ご専門の先生には非常に敬意を示しますが、
やはり悪性疾患でもないのに、
ただ単に機能不全(弁不全)となった静脈を結紮・切除してしまうのはいかがなものかと疑問に思っています。
さらに表在静脈を切除すれば深部静脈血栓症になった場合の側副路が失われますし、
圧迫療法についても、静脈に対しては有効かもしれませんが、動脈血行不良などを懸念します。

下肢静脈の機能から考えれば、
筋のポンプ作用(カルシウム)、静脈の弾力性(コラーゲン)、血流(貧血の有無)、運動不足など、
やはりタンパク質、アミノ酸、鉄、ビタミンC、カルシウムなどの栄養状態が関与しており、
こうしたアプローチによる下肢静脈瘤の予防・切らない治療を期待したいものです。

2016.11.10

パッチテスト

こんにちは、院長の栗木安弘です。

かぶれや湿疹の原因を見つけるためのパッチテストという検査があります。
金属や疑わしい化粧品などを皮膚に貼り付けて反応をみる検査で、
この検査で原因物質を特定するというものです。

パッチテストはかぶれのや湿疹の原因をはっきりさせるには有効な検査ですが、
 暑い時期は検査ができない
 判定は医師の主観的は判断であり、偽陰性、偽陽性、刺激反応もある
 皮膚に貼って検査するため、病変部が広範囲であれば検査できない
 貼ることで感作(アレルギーの獲得)される可能性がある
 陽性反応が出た金属(歯科金属、食物内金属)の除去や回避であるがコストや手間がかかる
という問題点もあります。

日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会では、
こうしたパッチテストにより、さまざまな物質のかぶれが多数報告され、新たなアレルゲンも次々判明されています。
通常は原因物質を特定して回避すべきことが基本ですが、
洗剤成分やゴムや染毛剤など職業柄、全て回避できない場合もあります。
また食物アレルギーにしても食品の反応が多いとすべて除去はできない等の問題点もありますし、
金属アレルギーの場合では歯科金属を除去してもよくなる保障もありません。

アレルゲンの原因追究や回避もよろしいが、
犯人ばかり捕まえて犯罪を防ぐ対策をしていない気がします。
今後はかぶれにくい・アレルギーの起こしにくい丈夫な皮膚や体を作る検討や対策もしてほしいと思います。

2016.11.04

困難な道

こんにちは、院長の栗木安弘です。

皮膚科診療において、
患者さんの希望通りにぬり薬を処方、またぬり方の細かい指導は、
皮膚科として当たり前のことで患者さんも納得されるかもしれませんが、
長い目でみると本来の皮膚の治し方ではない気がしてなりません。

皮膚の機能はバリア機能であり、外部からさまざまな刺激や微生物から体を守っている一番大きな臓器です。
そして皮膚の新陳代謝というのは下から上への一方通行です。
一方通行の代謝で汗や皮脂や老廃物を一緒に排泄することは皮膚科医は誰でもご存じです。
また皮膚表面を覆っている皮脂も皮膚のバリア機能に必要です。
かゆみやかぶれに対して一時的にぬるのはよいかもしれませんが、
皮膚表面に人工的なものをぬり続けることが、果たして皮膚の機能に影響はないのでしょうか?

皮膚も臓器の一部です。そして皮膚に必要なものは、やはり栄養です。
その栄養は体の内側から入れてやることが自然な皮膚のアプローチですが、
そこまでの道のりは、
食事内容だけでなく、たくさんの栄養摂取(サプリメント)が必要ですし、
栄養の消化吸収・代謝・運搬に関わる口腔環境、消化吸収、肝臓、貧血といった対策も行わなければ、
皮膚に十分な栄養は到達できません。(お金も時間もかかります)

つまり皮膚は目の前に見えていても、ものすごく大きく、遥か遠い存在というわけです。

歯科や内科は口から経口投与、整形では骨=カルシウムというイメージで、
栄養療法は取り組みやすいですが、皮膚科はお手軽なぬり薬というイメージが強いせいか、
皮膚科医も含めて多くの方は栄養に関心のないことがほとんんどです。
それでも日々の診療で、この栄養療法を必要とする方は皮膚科の中でも大勢いると痛感しています。

2016.10.31

コラーゲン合成

こんにちは、院長の栗木安弘です。

コラーゲンの材料は、タンパク質、ビタミンC、鉄
であることは意外と知られていませんし、皮膚科医もご存じの方は多くありません。
私も栄養療法を勉強するまで知りませんでした。

コラーゲンは皮膚の70%を占め、皮膚のハリや弾力性に関わる重要な成分です。
当然少なくなればしわやたるみが目立ってきます。
さらにコラーゲンが少なくなれば、皮膚が薄くなったり、かゆみ神経が表面まで伸びてきますので、
軽微な刺激でかゆみが生じることもよく経験します。
さらに表皮の角化にも影響を与えます。(乾燥肌や角化異常)

とくに頑固なかゆみについては、あれこれぬり薬やかゆみ止めを変えるのではなく、
一度採血で栄養の評価を行い、
タンパク質、鉄、ビタミンCをたくさん摂取する(できればサプリ)ことをおすすめします。

皮膚の中心は一番外側にある表皮として考えられ、
表皮内ケラチノサイトの研究が多いようですが、私自身は真皮コラーゲンが主役だと思っています。

2016.10.24

中部支部総会IN大阪

こんにちは、院長の栗木安弘です。

この土日は大阪で日本皮膚科学会中部支部総会が開催されました。
今回は私の元医局である兵庫医大皮膚科が主催でしたので、
私も微力ながらポスターならびに口頭での発表をさせていただきました。
内容はお馴染みの栄養やサプリメント関係で、一部の先生には大変興味を持っていただきました。

学会全体としては今回は、
 難しい研究結果
 難渋例、手術例
 新しく承認された抗がん剤(抗PD1関係)の副作用症例
 水疱症の遺伝子診断
 乾癬の生物学的製剤の使い分け
などとても研究色や専門性の高い内容で勉強になりましたが、クリニックレベルでの応用はなかなか難しいと感じました。

診断確定に必要な特殊な検査、状態に合わせた薬の使い分け、特殊な手技や手術なども必要でしょうが、
皮膚は内臓(栄養)の鏡、皮膚をよくするためには、
正しい診断やガイドラインによる適切な治療だけでなく、まずこうした体内環境の改善にも注目していただきたいと思っています。

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